HISTORY
奈良の風土とジンの歴史。

奈良の風土とジンの歴史
山々に囲まれた古都・奈良。薬草と人が長く寄り添ってきたこの土地で、ヨーロッパに生まれた蒸溜酒、ジンをつくる。その一杯には、異なる時代と文化を結ぶ物語があります。
奈良の風土
かつて日本の都が置かれた奈良は、漢方薬伝来の地ともいわれています。『日本書紀』には、611年に菟田野、現在の宇陀市で「薬猟」を行った記録が残されています。鹿の角を採り、薬草を摘むこの営みは、自然の恵みを暮らしに取り入れてきた歴史を伝えています。
いまも製薬や漢方に関わる文化が息づく奈良。山や里に育つ植物の香りを知ることは、この土地らしいジンを考える出発点になりました。ジンの原料となる植物「ボタニカル」と、薬草を大切にしてきた奈良の歴史は、遠く離れた文化でありながら、どこかでつながっています。

大和当帰と大和橘
奈良の植物のなかでも、大和当帰と大和橘は、橘花ジンの世界を語るうえで欠かせない存在です。
大和当帰
大和当帰は、奈良とゆかりの深い薬草のひとつ。根は生薬として知られ、葉にも独特の香りがあります。甘さだけではない、青く複雑な植物の気配。古くから薬草に親しんできた奈良の記憶を、香りからたどらせてくれます。
大和橘
大和橘は、日本に古くから自生する柑橘として知られ、奈良の地名にもその名が残ります。爽やかでありながら奥行きのある柑橘の香りは、ジンのなかで土地の輪郭を描く大切な要素です。「橘花」という名前にも、この植物への思いが重なります。
二つの植物が出会うことで、草木の深みと柑橘の明るさがひとつに。奈良の風土を、味わいとして表現していきます。

ジンの話
ジンの源流には、ジュニパーベリーを用いたヨーロッパの薬用酒があります。蒸溜技術の発展とともに嗜好品として広がり、17世紀末にはオランダからイギリスへと伝わって大きな流行を迎えました。その後、時代を経て磨かれたジンは、世界各地でつくられる蒸溜酒となります。
ジンの香りの中心にあるのはジュニパーベリー。それ以外の植物の組み合わせには、つくり手ごとの自由があります。柑橘、草花、木の実、スパイス。選ぶ素材によって、同じジンでもまったく異なる表情になるのです。
だからこそ、土地の植物を映す器としてジンはおもしろい。遠いヨーロッパで始まった酒の歴史に、奈良の風土が新しい一章を書き加えます。

大和蒸溜所の話
奈良の風土と歴史を蒸溜したジンをつくりたい。その思いから、奈良の古称である「大和」を名前に冠しました。大和蒸溜所があるのは、昔ながらの町並みを残す御所まち。築約150年の古民家を活かした建物は、町の時間の流れに溶け込むように佇んでいます。
奈良の植物と向き合い、その香りをジンというかたちにする。薬草の文化から始まった物語は、蒸溜所で一本のボトルへとつながります。グラスの中に感じるのは、ただの香りではなく、奈良という土地そのものです。
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